MENU

M&Aによる株価への影響は?株価が上がった事例と下がった事例を解説

「M&Aを実施する」というのは企業の将来を大きく左右する事象ですので、株価に非常に大きく影響を及ぼします。

M&Aへの期待値が高ければ買い手企業の株価は上がりますし、期待値が低ければ株価は下がります。

また、売り手企業の株価もリスクプレミアムや敵対的買収などを原因として上がることがあります。

実際に、これまでのM&Aの事例では株価はどのように動いてきたのでしょうか?

買い手・売り手双方の株価が上がった事例と下がった事例を見ていきましょう。

また、近年のM&A仲介会社の株価の推移についても触れていきます。

M&Aが株価にどのような営業を及ぼすのか詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。

目次

買い手企業の株価が上がったケース

買い手企業の株価が上がったケースとして、有名な事例は次の2社です。

  • ライザップ
  • ソフトバンク

これらの2つの企業はM&Aで会社を買収することそのものが会社全体の規模や収益力向上に寄与しています。

どんな状況で、どの程度株価が上がったのか詳しく見ていきましょう。

ライザップ

RIZAPは2017年からM&Aによって大きくなった企業です。

  • 2月:株式会社ジーンズメイト
  • 3月:株式会社ぱど
  • 6月:堀田丸生株式会社

2017は短期間に3社を買収し、年始に198円だった株価は、11月には1,400円を超えています。

業績が悪化した企業を買収して立て直すという手法によってグループ全体の規模拡大を図っています。

ソフトバンク

ソフトバンクも大型の買収を繰り返し、大きくなった企業です。

  • 2012年:イー・アクセス
  • 2015年:ワイモバイル
  • 2016年:ARM
  • 2018年:Wireless City Planning、LINEモバイル
  • 2019年:ZOZO

このように大型の買収を次々に繰り返し、2011年11月には1,100円程度だった株価が、2012年末には4,600円、2020年には7,000円超、2021年には10,000円超と、この10年間で株価は実に10倍程度の成長となっています。

買い手企業の株価が下がったケース

買い手企業の株価が下がったケースとしては、次の2社の事例が有名です。

  • 武田薬品工業
  • パナソニック

これらの企業は買収価格が高すぎたり、買収そのものが有効な効果を発揮しなかったため株価が下落しています。

M&Aの中身や株価が下がった主な原因について詳しく解説していきます。

武田薬品工業

2018年5月、武田薬品工業はアイルランド製薬大手シャイアーの買収を発表します。

発表当初、株価は上昇しましたが、年末にかけて株価は下落していきます。

これは、シャイアーの買収価格6兆2000億円が市場から高いと判断されたためだとされています。

企業の財務状態悪化が懸念されるこのようなケースにおいては、M&Aによって株価が下落することがあります。

パナソニック

パナソニックは三洋電機との経営統合を経て株価が下落しています。

  • 2008年12月:三洋電機との資本業務提携契約を締結
  • 2009年12月:連結子会社化
  • 2011年:経営統合

パナソニックと三洋電機双方の開発者が共同の技術を持ち寄って共同開発を期待しましたが、双方の技術に根本的な違いがあったことから、共同開発が行われることはありませんでした。

2009年には1,300円以上あった株価が、2011年には600円超に。2012年には500円台まで下落しています。

売り手企業の株価が上がったケース

売り手企業の株価が上がることも少なくありません。

有名な事例としては不採算部門を譲渡した次の2社のケースをあげることができます。

  • NEC
  • 三菱電気

NECと三菱電気が事業譲渡によって株価が上がった事例について詳しく見ていきます。

NEC

NECはパソコン事業をレノボグループへ売却したことから株価が上昇しています。

NECはパソコン事業で国内シェア1位を誇っていましたが、社会インフラ事業への投資などのための必要資金捻出のために事業売却を行います。

パソコン事業からは撤退となりましたが、社会インフラ事業への期待値が高まり、2016年7月には2,400円台だった株価は,

11月には2,800円台に、12月には3,100円まで上昇しています。

国内シェア1位の事業を売却しても、市場からの期待値が高まれば売り手企業の株価が上昇することもあります。

三菱電気

三菱電機は半導体部門を2003年に分社化し、徐々に株式の持株比率を引き下げて2017年には4%まで引き下げています。

2003年には300円台だった株価が2006年には1,000円台に、2013年には1,300円台、2017年には1,800円台と、半導体部門の持株比率を下げている期間で、株価は実に6倍まで成長しています。

半導体部門は競争が激化していたため、持株比率を下げることによって会社への期待値が高まり、株価が上昇しています。

売り手企業の株価が下がったケース

次の2社は事業譲渡したことによって株価が下落しています。

  • 東芝
  • 日立製作所

市場から後ろ向きな事業譲渡と捉えられたケース、または事業譲渡そのものに懸念を持たれたケースにおいては株価は下落する傾向があります。

実際に株価が下落したM&Aの2つの事例について詳しく解説していきます。

東芝

東芝は2016年に日本の事業会社として過去最大となる7,191億円の営業赤字と4,832億円の最終(当期)赤字を計上します。そして、2017年1月に、メモリ事業の会社分割による分社化の方針が決定します。

分社化した会社には外国資本の導入も検討していると発表します。

この売却は不採算部門の精算や選択と集中のために行われるものではなく、グループ会社ののれんの減損損失を補填するために行われたものですので、2017年1月4日には2,774円だった株価は2017年2月28日2,000円前後まで下落しています。

事業譲渡による期待値が全くなく、本業の分社化による収益力低下が懸念されたため、M&Aの発表によって株価は大きく下落する結果となりました。

日立製作所

日立製作所は自社のコア事業ではない日立物流と日立キャピタルを2016年に売却します。

しかし、日立物流と日立キャピタルとそれぞれしっかりと利益を計上している会社であったことから、日立製作所の経営方針に対して投資家は不安を感じます。

その結果株価は下落し、2016年3月には2,500円台だった株価は2016年6月には2,100円台まで短期的に下落することになります。

収益事業を売却することで株価が下落してしまう事例だといえるでしょう。

M&A仲介会社の株価はどう動く?

中小企業の事業承継問題などを原因として、M&Aの件数は増えています。

M&A仲介会社も業績を延ばしていますが、近年、仲介会社の株価はどのような動きをしているのでしょうか?

M&A仲介会社4社の株価の推移も確認しておきましょう。

  • 日本M&Aセンター
  • M&Aキャピタルパートナーズ
  • ストライク
  • 山田コンサルティンググループ

M&Aの件数が多くなる中で、M&A仲介会社の株価がどのように推移してきたのか、詳しく見ていきましょう。

日本M&Aセンター

国内のM&A仲介業者の中の最大手の日本M&Aセンターの株価は2017年くらいから右肩上がりに上昇しています。

2020年に入りコロナ禍によってM&Aの件数が減少したことや、市場全体の悪化の影響もあり、株価は下落していますが、2021年には3,600円を突破しています。

2012年くらいまでは100円程度だった株価は30倍以上上昇しています。

M&Aキャピタルパートナーズ

M&Aキャピタルパートナーズも日本M&Aセンターと同じような株価の動きをしています。

2017年くらいから株価は急激に上昇をはじめ、2021年には6,500円を突破しています。

やはりコロナ禍によって株価が一時的に下落していることも類似しています。

M&Aの需要の増加とともに株価が上昇しているのは、業界全体で共通した特徴だと言えるかもしれません。

ストライク

ストライクも2017 年から2018年にかけて株価が上昇しています。

2019年には株は下落し、後半に再び上昇しますが、2020年のコロナ禍によって再度下落します。

しかし2020年後半から2021年に株価は大幅に上昇し、過去最高の株価を記録しています。

2016年には1,000円台だった株価は実に6倍です。

ストライクもM&A市場の成長とともに株価が大きく上昇しています。

山田コンサルティンググループ

山田コンサルティンググループは2012年までは株価は100円台でした。

そこから2017円までに徐々に株価が上昇し、2017年からは爆発的に株価が上昇します。

2018年には株価は過去最高の3,400円台に到達し、6年間で株価はなんと34倍となっています。

しかし、2020年に入るとコロナ禍の影響によって株価は1,000円を割り込みます。

2021年に入り1,200円台まで株価は回復し、現在は株価が横ばいとなっています。

同業他社よりも株価が乱高下しているのが山田コンサルティンググループの大きな特徴だと言えるでしょう。

まとめ

M&Aと株価は連動しています。

市場からの期待値が高まれば株価は大幅に上昇します。また、企業によってはソフトバンクのようにM&Aを通じて大きくなってきた会社もあるので、このような企業は短期的ではなく長期的に株価が上昇します。

一方、M&Aの期待値が低い場合や、赤字や損失を補填するためのマイナスのM&Aの場合には株価が下落することもあります。買収金額が高すぎる場合も同様です。

M&A需要の拡大とともに、M&A仲介会社の株価は右肩上がりに上昇してきました。

今後、さらにM&Aの需要が増えていけば株価は上昇する可能性があります。

市場から期待されるM&Aはどのようなものかを理解し、企業のM&A案件にも注目して投資の意思決定を行うとよいでしょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次