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中小企業のM&A徹底解説|M&Aの流れと成功のためのポイントを紹介

大企業にしか関係がないと思われることが多いM&Aですが、最近では事業承継を目的として中小企業のM&Aも非常に多くなっています。

中小企業のM&Aは大企業のM&Aとは異なり手続きは比較的簡単ですが、注意しなければならない点もあります。

中小企業のM&Aを実施する方法と、成功するためのポイントなどについて詳しく解説していきます。

目次

中小企業がM&Aを行う目的とは?

中小企業がM&Aを行う目的は主に次の3点です。

  • 事業承継問題を解決するため
  • 成長戦略としてのM&A
  • 資金調達を行うため

事業承継問題を抱えた企業や、手を広げすぎた企業、もしくは大きな資金を必要としている中小企業であればM&Aによって企業が抱える課題を解決できるでしょう。

中小企業がM&Aを行う3つの目的について詳しく解説していきます。

事業承継問題を解決するため

中小企業がM&Aを利用する最も大きな理由の1つが事業承継問題の解決です。

中小企業庁の小規模企業白書(2020年)によると、2018年の中小企業の経営者のうち、実に28.1%が70代です。

2013年は21.6%、2015年は23.3%だったことを鑑みれば、中小企業の経営者は右肩上がりに高齢化していることが分かります。

そして、70代の経営者のうち、実に39.9%が後継者を見つけることができていません。

つまり、経営者が70代の企業のうち約4割が事業承継問題を抱えているということであり、M&Aは経営者の高齢化が進む中での有力な解決方法だと言えます。

成長戦略としてのM&A

成長戦略として、M&Aが活用されるケースです。

同業他社を買収するのであれば規模拡大やシェアのアップを図ることができます。

また、新規事業を始める際にもM&Aを活用することによって、譲渡企業の顧客基盤やノウハウや人材をそのまま引き継ぐことが可能です。

ゼロから新規事業を始めるよりも有利だと言えるでしょう。

さらに、異業種を買収することでシナジー効果も期待できます。

異なるジャンルや分野の企業と1つになることで、革新的なアイデアやサービスや商品が生まれることがあります。

資金調達を行うため

売り手企業は資金調達のためにM&Aを利用するケースもあります。

新規事業に必要な資金を調達するため、本業とは異なる事業を譲渡するようなケースです。

また、財務状況を改善するために、不採算部門や本業とは異なる事業を譲渡することで、流動性比率が高まり、企業の財務状況が飛躍的に改善することもあります。

新規事業のための資金調達や、財務状況改善のためにM&Aが活用されるケースも多々あります。

M&Aにはさまざまな意味があります。M&Aの意味について知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

中小企業のM&Aを実施する際の3つの方法

中小企業のM&Aを実施するには次の3つの方法が使用されるのが一般的です。

  • 100%株式譲渡
  • 事業譲渡及び会社分割
  • 株式交換・株式移転

それぞれ具体的にどんな方法で行われるのか、詳しく解説していきます。

100%株式譲渡

譲渡企業の株式を譲受企業が100%取得して買収する方法です。

株式の100%を譲渡するため、会社の全てを譲受企業へ売却することになります。

譲渡企業の経営者には経営権がなくなりますが、話し合いによって、M&A後も会社に残るケースもあります。

事業譲渡及び会社分割

譲渡企業の事業の一部を譲受企業へ譲渡する方法です。

例えば、建設会社がサイドビジネスとしてホテル業を営んでいる場合、ホテル業だけを他社へ譲渡する方法です。

譲渡の方法として譲渡した事業の価値に見合う対価を受け取るか、会社を分割して株式を一部売却するなどの方法があります。

会社の全てではなく、一部だけを売却する際に行われる方法です。

株式交換・株式移転

譲渡企業の株式の一部または全部を譲受企業へ渡し、譲受企業の株式を受け取る方法です。

譲受企業は譲渡企業の株式を取得することができ、譲渡企業の株主は譲受企業の株価を取得して、市場で売却できます。

そのため、譲受企業が上場企業の場合に行われることが多くなっています。

株式移転とは、新会社を設立して新会社に譲渡企業の株式を取得させ、譲渡企業は新会社の株式を取得する方法です。

中小企業のM&Aの流れ

中小企業のM&Aは基本的に次のような流れで行われます。

  1. M&Aの目的の明確化・戦略策定
  2. M&A対象企業の選定
  3. 売り手企業の価値を評価
  4. トップ会談・条件交渉
  5. 基本合意契約の締結
  6. デューデリジェンス(買収監査)の実施
  7. 最終契約締結・クロージング
  8. PMIの実施 

それぞれどのような作業をするのか、注意すべきポイントなどとともに解説していきます。

M&Aの目的の明確化・戦略策定

中小企業のM&Aでは、まず目的を明確にして戦略を策定します。

例えば、M&Aの目的が事業承継であれば、ある程度時間をかけて相手先企業を探すことができます。

他方、資金繰りのために事業譲渡を行うケースなどでは、時間をかけて相手先企業を探すことはできません。

まずは「何のためにM&Aをするのか」という目的を、M&Aアドバイザーと話し合い、最適なM&A戦略を立案しましょう。

M&A対象企業の選定

M&AアドバイザーがM&Aの目的に適った企業の選定を行います。

M&Aアドバイザーは金融機関や税理士・会計士などのネットワークや、自社のデータベースなどをフル活用して、譲渡企業の希望に沿った買い手を探します。

売り手企業の価値を評価

対象企業の選定を行うのと同時にM&Aアドバイザーは売り手企業の価値を評価します。

評価の方法は主に次の3つです。

  • コストアプローチ
  • インカムアプローチ
  • マーケットアプローチ

コストアプローチ

コストアプローチとは、企業の純資産から企業の価値を評価する方法です。

企業が保有する資産の時価から負債の時価を控除して純資産を求める方法と、貸借対照表に記載されている純資産をそのまま評価額とする方法があります。

インカムアプローチ

インカムアプローチとは、企業の収益から企業価値を評価する方法です。

収益から評価する方法はDCF法といい、将来獲得できると見込まれる利益を現在価値に割り引いて評価額を求めます。

資産が少なくとも、収益力の高い中小企業は多数存在します。

そのような企業はインカムアプローチで企業価値を評価することで、評価額が高くなる可能性があります。

マーケットアプローチ

株式市場での株価を参考に企業の評価額を算出する方法です。

売り手企業と同種・同規模の上場企業の株価を参考にします。

ただし、売り手企業も上場企業と同じ程度の規模である必要があるため、マーケットアプローチで評価できるのはある程度の規模がある企業だけです。

中小企業の評価方法としてはあまり用いられる方法ではありません。

トップ会談・条件交渉

双方が相手企業とのM&Aに前向きになったら、トップ会談を行います。

M&A仲介業者を利用している場合には、仲介業者がトップ会談のセッティングを行い、会談の司会をつとめてくれます。

基本合意契約の締結

売り手・買い手双方がM&Aを進めていることに同意したら、基本合意契約を締結します。

基本合意契約には独占権があるので、基本合意契約以後は相手企業としか交渉ができなくなります。

そのため「M&Aにおける相手先企業を探す」というフェーズはこの段階で終了します。

ここからはM&A実現に向けた詳細な条件の詰めと、税務・法務的なチェックに入ります。

デューデリジェンス(買収監査)の実施

デューデリジェンスとは、譲渡企業が譲受企業にとって買収先としてふさわしいかについて法務面や財務面で確認することです。

貸借対照表に計上されていない簿外債務がないか、損害賠償責任がないかなどを確認します。

最終契約締結・クロージング

取引条件の交渉を行い、双方が交渉条件に納得できたら、最終契約の締結を行います。

契約締結後には代金の決済、登記手続、印鑑の引き渡しなどのクロージングを行い売買完了です。

PMIの実施 

中小企業のM&Aであっても、M&AアドバイザーはPMIをしっかりと実施します。

PMIとは企業の統合作業です。

経営から、事務ルール、人員配置、人事評価など社内のあらゆるものを、企業の統合がスムーズにいくように見直します。

中小企業であっても、異なる文化の企業が1つになれば、そこに何らかの軋轢が生じます。

M&Aアドバイザーはできる限り、企業のサポートが円滑に進むよう、PMIについてもサポートします。

M&Aの流れや必要書類について知りたい方は以下の記事をご覧ください。

中小企業のM&Aを成功させるポイント

中小企業のM&Aを成功させるためには以下の3つを意識して手続きを進めましょう・

  • M&Aを実施する理由を明確にする
  • 関係者への影響を考慮して説明を尽くす
  • 会社の株主を確認しておく

目的を明確にするとともに、利害関係者に対する説明責任を果たしましょう。

中小企業のM&Aを成功させるための3つのポイントについて解説していきます。

M&Aを実施する理由を明確にする

まずはM&Aを実施する理由を明確にしましょう。

事業承継なのか、資金調達なのか、選択と集中を行うのかによって、相談すべきM&AアドバイザリーやM&A仲介業者は異なります。

まずはM&Aを実施する理由を明確にして、何のためにM&Aを実施して、会社がどうなりたいのかの方向性を定めましょう。

関係者への影響を考慮して説明を尽くす

譲渡企業にとって、M&Aは関係者への影響が甚大です。

従業員は会社を売却することを知れば「自分の雇用は大丈夫かな」と不安に感じるものです。

取引先もM&Aを実施することを知った場合は「支払いが危ぶまれるから、取引継続をしない方がいい」などと考える可能性があります。

そのため、関係者全員に対して「何のためにM&Aを行うのか」「M&A実施後に会社はどうなるのか」などを詳細に説明をしましょう。

従業員や取引先にとって、M&Aをすることの衝撃は非常に大きいため、関係者に対しては時間をかけて丁寧に説明しましょう。

また、まだ話が決まっていない段階で「M&Aを検討している」というような情報が流れないよう、情報管理は徹底してください。

会社の株主を確認しておく

中小企業のM&Aでは会社の株主が誰かを必ず確認してください。

株主の同意がなければM&Aを実施できませんが、歴史ある中小企業の中には、相続などによって株主が誰になっているのか不明瞭というケースが多々あります。

株主が誰か確認し、株主全員にM&Aを実施することや、株式の売却額などを説明しましょう。

まとめ

M&Aは事業承継や規模拡大や資金調達など様々な問題解決に寄与します。

M&Aというと、大企業だけが行うイメージがありますが、実際には中小企業のような事業規模の小さな企業でもM&Aを実施しています。

M&Aには複雑な手続きや専門的な知識が必要になるので、M&Aの実施を希望する人はまずはM&A仲介業者へ相談してみましょう。

少額のM&Aについて知りたい方は以下の記事をご覧ください。

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